ひな祭りに欠かせないアイテムと言えば、ひな人形ですよね。
親王飾りや7段飾りなど飾り方によって登場するメンバーも様々ですが、そもそも主役のお二人、お内裏様とお雛様ってどんな関係の人たちなのか気になったことはありませんか?

今回は二人の関係について有名な説をご紹介します。

天皇陛下・皇后陛下をモデルとした理想の夫婦 説

まずは一般的な夫婦説からみていきましょう。

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  • お内裏様がつけている冠が皇族仕様
    冠の後ろにある薄い羽根状のものを纓(えい)といい、身分によって形が異なります。直立しているものは立纓(りゅうえい)といって、これは天皇陛下のみ使用が許されている形なのだそう。
  • 内裏(だいり)は天皇陛下の居住区
    男性のお人形を「お内裏様」と呼びますが、この「内裏(だいり)」というのは「天皇陛下のお住まい」のこと。昔はお偉い方を呼ぶ時は「お屋形様」「お殿様」など、お住まいに「様」をつけていたので「お内裏さま」というのは内裏に住まうのお偉い方、ということになります。

このような点から一般的には、お雛様は天皇・皇后陛下をモデルに作られたと言われています。しかし、そっくりそのままモデルにしたというよりは宮中の華やかな衣装への憧れや天皇・皇后陛下のような幸せな結婚をしてほしいという願いからこのような形になったとも言われています。

夫婦ではなく、姉弟? 説

hinamatsuri3 camera-icon『岩戸神楽ノ起顕』 歌川国貞/『日本略史 素戔嗚尊』月岡芳年

天照大神(アマテラスオオミカミ)と素戔嗚尊(スサノオノミコト)。 この二柱の神様が伊邪那岐命(イザナギノミコト)の禊から生まれた姉弟だというのは有名な話ですが、実はこの二柱の神様がお内裏様とお雛様であるという説もあるそうなのです。

ここからは少し古事記のお話になりますが…

父の逆鱗に触れ、追放の令をうけたスサノオは、姉・アマテラスが治める高天原を訪ねます。国を奪いに来たのかと疑う姉に潔白を証明するため、誓約(うけい)を提案。二柱はお互いの持ちものを取り替え、スサノオの心に邪念がないかどうかを占う儀式を行います。

スサノオから受け取った十拳剣(とつかのつるぎ)からは三柱の女神が。アマテラスから受け取った髪飾りや腕の珠飾りからは五柱の男神が生まれました。

これにより、「心優しい女神を生んだ私に邪念などあるはずがない」とスサノオは勝利を宣言をします。

このエピソードに登場する三柱の女神と五柱の男神ですが、何かと数が似ていると思いませんか?
生まれた数と男女の比率をよーくみてみると…なんと三人官女と五人囃子の人数とぴったり!ひな段で控えているあの方々は、この古事記のエピソードからきているというわけなのですね。

アマテラスとスサノオは姉弟であると書きましたが、一説では夫婦だったとも言われており、ひな人形はその名残でもあるのだとか。

なんと「お内裏様」と「お雛様」は間違った呼び方だった

最後にちょこっと小話を。
お内裏様=男雛、お雛様=女雛 と認識している方も多いと思いますが、実はこれは少し間違いなのだそうです。

本来、お内裏様というのは男雛(おびな)と女雛(めびな)を合わせた総称のこと。 内裏というのは天皇陛下のお住まいのことですので、もちろん皇后陛下もいらっしゃいます。ですから男性のお人形だけを呼ぶ言葉ではなかったのですね。

ではもう一方のお雛様とは…?というと、 こちらは雛段に鎮座している「男雛・女雛・三人官女・五人囃子・随身・仕丁」すべてのお人形のことを指すのだそうです。筆者も初めて知ってびっくり。

どうしてこのような間違った認識が広がってしまったのかというと、 童謡「うれしいひなまつり」で誤った歌詞が浸透して一般化されてしまったみたいです。 作詞をしたサトウハチロー氏は晩年まであまりこの歌を好んでいなかったとかなんとか…。 なんとも切ないお話です。

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ひなまつりは実は奥が深く、調べてみると興味深いお話がたくさん出てきました。今回ご紹介したもの以外にもあまり知られていないお話もあるので探してみると面白いかもしれませんよ。